秘書ログ

  • 2018年4月16日 19:45

     先週金曜日に「生産性向上特別措置法案」及び「産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が衆議院経済産業委員会で可決されたが、平議員はそれに先立つ4月6日(金)、衆議院経済産業委員会の質問に立っていた。内容は、レギュラトリー・サンドボックス、地域未来牽引企業、コネクティッド・インダストリーズなど法案に関連する政府の最新の政策について。このうちの前2つは、2016年9月に自民党の茂木敏充政調会長(当時)の下に新設された経済構造改革特命委員会で構想が練られ「経済構造改革戦略:Strategy5(H29.4.28)」として打ち出されたもの。平議員は同特命委員会の事務局代理を拝命し、現在は事務局長に就任している。この中で今回は「政策がひとり歩きする」という不思議な現象に遭遇した地域未来牽引企業について取り上げたい。
     さて、地域未来牽引企業とは何か。端的には、地域ごとに①域外への販売が大きく、②そのために多くを域内から調達する企業のことで、地域未来牽引企業の売り上げが伸びれば地域全体も潤う関係性がある。命名者は平議員である。
     内需頼みでは人口が減少していく中において激しいパイの奪い合いになるが、外需も視野に入れて地域未来牽引企業が売り上げを伸ばしていけば日本経済全体が更に上向く。これをビッグデータ分析システムのRESAS(地域経済分析システム)を用いて抽出する。
     そして、この地域未来牽引企業の選定には、政策のパラダイム転換が絡んでいる。これまでの政府の企業支援策は、企業側が政府に対して助成を申請するものばかりであった。しかし、この政策は、政府が選定した地域未来牽引企業とその取引群に対して、積極的に政策資源(税制、補助金、規制改革)を投入するという世界でも類を見ない政策だ。
     この地域未来牽引企業への集中支援策を平議員は「超精密ターゲティング・ポリシー」と名付けた。かつての通産省主導のターゲティング・ポリシーは「製鉄」「自動車」など今後日本として力を入れるべき産業を予測して導く政策で、予測が当たってうまく行く場合もあれば外れる場合もあった。しかし、地域未来牽引企業の選定はデータに基づき、そこに政策資源を重点投入するということなので、まさに超精密なターゲティング・ポリシーなのだ。ネーミングだけでも期待感が高まるものであり、自民党内で新しい政策として読み上げられたときには場内でどよめきが起こったものだ。
     ところで、この政策の肝は何か。実は、データに基づいて支援対象や支援策が厳正に決められるので、政治家や官僚の差配がきかないということ。茂木政調会長のリーダーシップと平議員の精力的な根回しで何とか自民党内の手続きを通し、その後政府の政策として反映することができたが、これこそが真のパラダイム転換であったのかもしれない。 〈秘書W〉

  • 2018年4月16日 19:35

     平議員が命名した「地域未来牽引企業」や「超精密ターゲティングポリシー」はどのようにして生まれ、政府の政策になっていったのか。政策立案プロセスを振り返りたい。
     政府の政策といっても必ずしも霞ヶ関官僚が一から作っているわけではない。たとえば成長戦略の場合、近年のパターンは、自民党から出される提言と政府内でブラッシュアップした政策を併せて、日本の成長戦略としている。その中で、政策の新機軸は自民党の提言によるものが多いものの、内容は、各省庁からのアイディアだったり、業界団体からの要望だったりで、それらをホチキス止めして"自民党の成長戦略"と銘打つことが通例であった。このように、これまでの政策立案は主として官僚によるボトムアップ型となっていたことから、各省庁として推し進めたい政策の寄せ集めだったり、従来の延長線上の内容だったりすることが多かった。
     だが、平議員の政策立案手法は従来とは異なっている。「経済構造改革戦略:Strategy5(H29.4.28)」のときは、最初に茂木政調会長から、①地域経済の活性化、②イノベーションの創出、③金融資産の活用強化という重点分野が指定されると、それらの政策の現状を官僚に確認した上で、企業経営者、企業の開発担当、コンサルタント、大学教授、シンクタンクの研究員などあらゆる関係者を呼んでヒアリングを重ね、問題点を浮かび上がらせた。そして、自ら課題を設定して、その解決のためのアイディアを官僚に伝えるという、いわばトップダウン型の政策立案手法であった。そのため、各省庁の所管や規制にとらわれない理想形から政策を作ったり、斬新なアイディアが生まれたりした。
     また、平議員が政策立案をする上での土台にあるのは、エピソードよりエビデンスを重視する姿勢だ。前回の①の秘書ログで述べた地域未来牽引企業はエビデンス、それも膨大なビッグデータに基づいて一義的にはRESAS(地域経済分析システム)で選ばれている。
     これらの平議員の手法は、従来型の自民党の政策立案を想定していた霞ヶ関官僚に衝撃を走らせたという。自分たちのやりたい政策を短冊に書いて意見照会が来るのを待っていたら、それを出すタイミングもなく提言書が出来上がってきたからだ。
     だが、従来の政策との整合性、自分たちの判断の無謬性、を旨とする官僚が主導するのでは、新しい着想による成長戦略の策定を行うことは難しい。「Strategy5」を見ていただければ分かるが、政治主導でなければ政策転換はできない。つまり、平議員による政策立案の手法もパラダイム転換であったのだ。 〈秘書W〉

  • 2018年4月16日 19:30

     与党による衆議院本会議や各委員会での国会質問の意義とは何か。野党による国会質問に比べて報じられることは少ないが、政策立案の背景にある社会的な課題を明らかにしたり、世の中の一般的な疑問に答えたりすることが多い。
     そのような質問内容になる理由は、政府からの答弁は聞かれたことについてのみ答えるという制約(衆議院規則第百三十四条など)があるため、野党から政策の根幹部分の質問がなされない場合に与党が聞いておかないと、国民が政策の目的を知る機会のないまま、法律化、予算化されてしまうからだ。
     この点においても、平議員の質問は一般的な与党の質問とは一線を画していた。それは、前回の②の秘書ログで書いたが、政策立案者自身がその政策についての質問に立つという性質のものだったからだ。
     一般的な国会質問と同様、平議員が経済産業委員会で質問することが決まると、役所が法案のレクチャーや質問内容の聴取にやって来た。そこで、地域未来牽引企業の現状を確認すると「選定された企業におけるご理解が広まるとともに、民間の金融機関による自主的な融資の流れも生まれている。今後も担い手を発掘して追加していきたい」とのことであった。すぐさま平議員は「地域未来牽引企業は、政府が選定した企業を支援する仕組みであるので、データ・ドリブン(データを活用し新たな価値を生み出すこと)でなければならない。そのため、毎年毎年、定量的な視点から見直し、ミシュランガイドのように一度選定されても入れ替わりがあり得る制度とすることが重要。何故このフィロソフィーが変わってしまったのか」と指摘。この案件は、役所に持ち帰って検討され、経済産業委員会では結局、政策立案者である平議員の意向に沿う形で大臣が答弁した。
     察するに、役所側が地域未来牽引企業を選定し公表することを企業側に説明して回る中で、一度選定された後に選定から漏れると印象が悪いとの苦情を受けたため、政策の方向性を歪めたのではないか。だが、それでは地域経済の向上とは関係のない企業を既得権益として支援することになるので、平議員は譲らなかった。
     自民党で立案しその後政府の政策に反映された後、行政が執行する段階で政策の方向性が変わる。想定されにくいことではあるし、立法した後の細かい部分は行政に任さざるを得ないところであるが、フィロソフィーはしっかり理解しないと誤った方向に政策が進んでしまう。そんな事例であた。
     なお、実際の経済産業委員会における質疑の状況について次の動画や記録をご覧いただきたい。〈H30.4.6 衆議院経済産業委員会(世耕大臣VS平将明)〉 また、RESASや地域未来牽引企業については、平議員も出版に協力した「ビッグデータで選ぶ地域を支える企業」(帝国データバング著、日経BP社)に掲載される予定なので、是非手にとっていただけたらと思う。 〈秘書W〉

  • 2018年1月 9日 09:15

     昨年末、新聞の投書欄で「この1年」という特集が組まれていた。投書欄への採否に編集者の意図が働くにしても、「永田町の常識は世間の非常識」とも言われる政界に身を置く者にとっては、投稿内容は貴重な意見である。今回、「良い世の中への希望芽生えた年」と題する17歳の高校生の投稿があったので一部を抜粋して紹介したい。

    『 「2017年はどんな年でしたか」と問われたら、私は「いい年とは言えない1年だった」と答えますが、新聞を読んで、もう一つ思ったことがあります。それは、世界を良い方向に転換しようとする動きです。国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の進展も報道されました。例えば環境・貧困問題解決などに取り組む企業へ投資しようとの動きです。17年は、新たな希望が見えた1年であったとも言えます。 』

     常日頃から平将明の言動に接している者であれば、「これって平将明が進めている政策では?」という感想を持たれるに違いないが、一般的にこの投稿を読んでピンと来る方はいないだろう。政治の良い面が報じられにくいことは勿論のこと、政策の発案・推進者が明らかにされにくいことや、各政治家が自らの政策を体系立てて記録することが少ないこともその背景事情としてある。
     高校生の言う「環境・貧困問題解決などに取り組む企業へ投資」とは、ESG投資のことで、EはEnvironmentで環境、SはSocialで社会、GはGovernmentでガバナンス。世間的には知られていないが、平議員は自ら呼びかけ人となってESG投資・国連投資原則勉強会を立ち上げ、2年半前の2015年9月9日に当時の世耕官房副長官に申入れを行った。詳しくは、ESG投資・国連投資原則推進政策提案をご覧いただきたい。申入れの1週間後の9月16日には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、資金運用においてESGの視点を反映させる国連責任投資原則の署名機関になり、さらに10日後の9月27日には、安倍総理が「持続可能な開発のための2030アジェンダを採択する国連サミット」において、GPIFが国連の責任投資原則に署名し、日本としても持続可能な開発の実現に貢献していくことを発表した
     同じく高校生の言う「国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の進展」について、2017年4月28日に自民党経済構造改革特命委員会がまとめた「経済構造改革戦略:Strategy5」の「世界トップの ESG 先進国を目指し持続的でインクルーシブな成長を実現」の項では、「投資家がSDGsに取り組む企業を積極的に評価し投資できるエコシステムの構築」を謳っているが、これがその後の政府のSDGs施策につながっている。この発案を行い政府と調整を行ったのも事務局長代理の平議員であった。
     おそらく、冒頭の高校生は、平議員の名前など知らないだろう。とかく政治家も秘書も多忙のため刹那的に仕事しがちだが、記録できることは記録して残すべきだと、新年を迎えて改めて思った。政治が世の中の良い流れを作ることも当然あるのだから。 〈秘書W〉

  • 2017年11月 1日 18:48

     本日召集された特別国会で自民党の安倍晋三総裁が首班指名を受け、第四次安倍内閣が誕生する。10月22日投開票の衆議院総選挙の結果を受けてのことだ。
     選挙戦では解散の意義である①北朝鮮問題(北朝鮮から日本を守れるのは自民党)、②子供たちの未来(消費税財源の一部を国の借金返済でなく幼児教育無償化に充当)が争点となったが、平議員も候補者として、自らの考える成長戦略のほか、これら2つの解散の大義を繰り返し訴えた。
     北朝鮮問題について、選挙期間中、平議員がネットメディア局長として取り仕切った自民党インターネット番組"カフェスタ"で、ゲストの河野太郎外務大臣(10/10出演)、小野寺五典防衛大臣(10/16出演)ともに、安倍政権が成し遂げてきた法整備の意義を強調した。その法整備とは、特定秘密保護法と平和安全法制。いずれも国会審議やマスメディアを通じては、法律の意義を十分に浸透できず、特定秘密保護法の場合は「上空を飛んでいるオスプレイを撮影してSNSに投稿すると特定秘密保護法違反で逮捕される」など他党の主張内容が根拠もなく流布された。言うまでもなく、法律施行後、実際に逮捕された例はない。この辺りの解説は、中谷議員がゲストのカフェスタ(2013/12/19放映)が詳しい。
     小野寺防衛大臣はカフェスタで、特定秘密保護法の施行前後の二度にわたって防衛大臣を務めてきたが、法律の成立後は国家安全保障会議における情報の質と量が格段に上がったと述べた。河野外務大臣も日本独自の情報と外国からの機微な情報を重ね合わせることで、より精緻な情報分析ができるようになったとした。これらは、特定秘密保護法によって秘密取扱者に対する罰則が1年以下から10年以下の懲役に強化されたため、同盟国が安心して日本に情報提供できるようになったことや、機微な情報の取り扱いを1つの法体系にまとめたことで情報の集約を行いやすくなったためと説明されている。
     特定秘密保護法の意義などは選挙で勝つため急に出てきたお題目ではないか。そういう勘繰りもあるだろう。しかし、解散から約1か月前の8月31日、菅義偉官房長官がBSの番組に出演した際にも「2014年12月に施行された特定秘密保護法により、秘密取扱者に対する罰則を強化したことなどで、外国から機微な情報が入ってくるようになった」と既に語っている。
     さて、小野寺防衛大臣は記者会見等で「11月にトランプ米大統領が中国を訪問したときの交渉結果によっては北朝鮮問題が深刻化する可能性がある」ということも述べている。国民からの負託に応えるべく、早々に第四次安倍政権の真価が問われる。その際、平議員がパーソナリティを務める月曜カフェスタが、メディアによって言葉の切り取りが行われることなく、生の情報を得て正しい情勢認識を促すインターネット番組として、引き続き有力なソースになることを付け加えたい。〈秘書W〉

  • 2017年6月21日 16:36

    「共謀罪法案はテロ対策にならない」「ちゃんと全文読んだのか」「条文にテロとは一言も出てこない」「秘書さんもしっかり勉強して」
     議員会館の国会議員事務所には、様々な団体・個人が日々陳情で訪れる。衆議院本会議で、組織的犯罪処罰法改正案、いわゆるテロ等準備罪処罰法案(一部では「共謀罪法案」と呼称)の採決が間近に迫った日、このようなご叱責を受けた。
     本法案の国会提出前に、自民党で議論された結果、「テロを含む組織犯罪を未然に防止し,これと戦うための枠組みである国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結して,国民の生命・安全を守ることを明確にするため、『テロ』という文言を入れる」ことになったはずだが、結局入れなかったのか...? その後の結論をフォローできていなかったことを反省しつつ、後になって条文を確認すると「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」という文言が入っていた。陳情に来られた方々は誰から法案の誤った内容をインプットされたのか。
     また、国連特別報告者のジョゼフ・カンナタチ氏が、本法案について「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」とする公開書簡を安倍総理あてに送ったために、野党やマスコミは国際社会からも懸念を持たれているとした。しかし、そもそも日本政府はこの法案の英訳を作っていなかったので、外務省は「海外にて断片的に得た情報のみをもってこのような懸念を示すことは‥」と強く抗議した。
     このような中、G7首脳会合(5/26~27)で、国連のグテーレス事務総長は「特別報告者は,国連とは別の個人の資格で活動しており,その主張は,必ずしも国連の総意を反映するものではない」と先の書簡を釈明した。また、同じG7の「テロ及び暴力的過激主義との闘いに関するG7タオルミーナ声明」第9項で、「テロ対策のため国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を含む国際文書の実施のために協力を強化する」ことが決議されるなど国際社会でも賛同を得られた。だが、これらの事実はほとんど報じられなかった。
     さて、この点において、平議員がパーソナリティを務める自民党動画番組"カフェスタ・トーク"の4月3日の放送において、元検事の山下貴司衆議院議員が分かりやすく解説されている。世界の187の国と地域が締結するTOC条約の抜け穴となっている日本の現状、テロ等準備罪が成立するための要件が厳しいことなど明解であった。そして、30分ほどの解説後、ニコニコ動画のアンケート機能を用いて「テロ等準備罪処罰法案が必要か」と尋ねると、「①必要だと思う;94.6%、②いらないと思う:3.6%、③どちらでもない:1.8%、④わからない:0.0%」という結果になった。番組来場者には固定的なファンが多いことを加味しても、丁寧な説明を受ければ必要と判断される傾向が見て取れる。
     安倍総理は、国会閉会後の記者会見で、テロ等準備罪処罰法について「依然として国民の皆様の中に不安や懸念を持つ方がおられることは承知をしております」「これらの法律を実施していくに当たって、国会での御議論なども踏まえて、適正な運用に努めてまいります」と述べられた。不断に説明していくことは勿論のこと、正しい情報をダイレクトに伝えることも必要不可欠となっている。〈秘書W〉

  • 2017年3月28日 18:05

     大阪府豊中市の国有地を学校法人に売却するに当たり、売買価格が大幅に値引きされたことが注目を浴びている。この問題については、自民党内でも「国有地は国民の財産で、不当に誰かの利得になっていいはずはない。政府・与党としてきちんと解明すべきものだ」などの意見が聞かれる。だが、真相解明の糸口になるはずの財務省保管の値引き交渉記録は既に廃棄されていた。
     なぜ交渉記録は廃棄されたのか。何かを隠蔽するためではないのか。誰かの重大な判断ミスがあったのではないのか。あとから文書が見つかったりすると国民は疑心暗鬼になる。私も業務を遂行する上で、官僚の隠蔽体質を目の当たりにしたことがあるが、一方で愚直なまでに官僚の遵法意識が高いことも認識している。そのため、当該文書の保存期間が1年未満というルールを守って廃棄しただけということもあながち嘘とは言えず、そもそものルール、この場合はどの文書をどの期間保存するか、あらかじめ詰めておくのが王道だ。では、財務省内のルールを作ったのは誰か・・・。
     行政機関の職員が、職務上作成・取得した文書や電磁的記録で、組織的に用いるものとして当該機関が保有しているものを行政文書という。行政文書の管理ルールは長らく府省庁ごとに定められていたが、平成21年6月に情報公開法に対応するため公文書管理法ができたことで、立法府である国会のコントロール下に置かれた。とはいえ、同法は取り扱いの大枠を規定するだけで、細かい内容は今も各府省庁の規則に委ねている。
     実は、同法の施行後、財務省の行政文書管理規則を定めたのは、民主党政権時代の野田佳彦財務大臣。この規則は文書の種類ごとに保存期間を定めているが、ここに明記されていない文書は作成から「1年未満」の任意の時期に廃棄することが可能となる。本来は、官僚のほしいままに文書が廃棄されないよう、これら内部規則の起案書が上がってきた際、立法側が厳しいチェックをしなくてはならない。しかし、現実には、政務三役(大臣、副大臣、大臣政務官)が官僚の持ってくる数多くの案件を理解して決裁するのは難しい面もある。
     南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に従事している陸上自衛隊部隊の日報の廃棄問題も同様で、防衛省の規則は、同じく北澤俊美防衛大臣が定めた。日報そのものが歴史的に重要な行政文書と判断するならば、あとから規則を改正して国立公文書館で保管することもできる。
     現実として政権交代が行われるようになった今、かつての政権党が現在の政府のガバナンスを責め立てても、それは直ぐにブーメランとなって返ってくる。必要なのは、国会議員が官僚機構をどう統治していくかという建設的な議論だ。平議員の経済産業大臣政務官や内閣府副大臣在任時の仕事ぶりからすると、政務三役は国会議員だからこそできる政策転換や省庁横断的な対応など大局的な仕事に注力すべきと実感している。顧みれば、平成26年5月に大臣補佐官のポストが新設された際、野党は「焼け太り」と批判したが、これらの政治任用ポストを機能させることが重要ではないか。この政治主導のための大臣補佐官の積極的登用というのは、平議員の持論である。〈秘書W〉

  • 2016年12月 7日 10:06

     政府は先週、「農業競争力強化プログラム」を決定した。このプログラムは、一昨年から推進してきた「農業の担い手の所得向上」のための農協・農業委員会改革等のうち、積み残された課題に対応するもの。現在の政府与党の政策決定プロセスでは、政府決定の前に自民党の承認手続きを必要とするので、その前段として自民党農林水産業骨太方針策定PT(小泉進次郎委員長)などで白熱した議論が行われた。
     検討すべき主な課題は2つ、①生産コストの引き下げ(肥料、農薬、農機具などの生産資材の価格引き下げ)、②農産物販売の効率化(流通や加工構造の効率化)であった。最終的には①②いずれも農協の在り方を見直す方向になったが、その過程で、卸売市場の廃止も議論の俎上に載せられた。今回はこの部分に焦点を絞りたい。
     問題視されたのは、農協は生産者(農家等)から委託を受けて農産物の販売を行うため生産者に価格決定権がなく、また農協の流通段階ごとに生産者が支払う手数料が重荷になっていること。このため、流通改革が必要とされたのであるが、スーパーが直接生産者から買い付けたり、生産者がファーマーズ・マーケットで直接販売できる機会が増えたりしたこともあり、卸売市場についても不要論が出てきた。しかし、データに目をやると違う事実が見えてくる。
     データの1つ目は、「卸売市場経由率等の推移」。生産者は価格を自由に決められないが、卸売市場なら日持ちしない生鮮品を全て買い取ってもらえるため売れ残りリスクがない、卸売市場なら3日以内に売り上げを現金で受け取れるため貸倒れリスクがないなど、卸売市場は経済合理性の観点からも生産者にとって魅力がある。だからこそ経由率は減少傾向にあるものの一定水準を保っているというもの。
     データの2つ目は、「青果物の小売価格に占める生産者受取価格の割合の日米比較」。当初、日本の流通は地域農協や中央農協を通した後に卸売市場を通すなど関門が多いため非効率で、アメリカの流通は分業化された専門会社が担うので効率的という主張もあった。しかし、生産者の手取りはいずれの青果物についても日本が多く、日本の仕組みが非効率とは言えない。
     これらの指摘は、自民党の会合で平議員によって行われたものであり、結論として、今回のプログラムで、卸売市場は合理化を一層進めることになったものの、その存在意義は再認識され、生産者側が貸倒れリスク、売れ残りリスク、在庫負担を急に抱える事態は回避された。
     会議後、その明快な解説に記者は絶賛するも記事にはならなかった。「青果物の小売価格に占める生産者受取価格の割合の日米比較」は元々議員への配布資料に含まれていなかったが、平議員の指摘により農水省から提示されたものだ。生産者の隅々まで国政での一つ一つの議論は届かないだろうが、私は一筆の価値がある政策論争だったと捉えている。 〈秘書W〉

  • 2016年10月 8日 18:57

     国会議員の活躍はニュースにならない。10月1日から新たに始まった消費者保護制度をめぐる報道に接しての感想である。この新制度は、「消費者契約に関して消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するための裁判制度」で、第一段階として、国から認定された団体が事業者側に賠償の義務があるかの裁判を起こし、それに勝訴した場合に、第二段階として、被害者を募って財産を取り戻す制度である。
     この制度は、賠償額について、消費者が実際に事業者へ支払った金額の範囲内に限られ医療費や慰謝料など拡大した損害には及ばないこと、訴訟の担い手について、裁判を起こせる国の認定団体が少ないことなどの課題が指摘されている。しかしながら、この制度の設計について議論された3年前は、この法律が本当に消費者保護につながるのか、事業者を過度に委縮させないのかが主な争点となっていた。
     背景には、クラス・アクションというアメリカの同様の法律で、賠償金の多くが弁護士報酬に回り、消費者に戻ってくる金額は僅か、多くの場合が、次に商品を買ったりサービスを受けたりするときの割引クーポン券が支給される、という状況があった。
     そこで、自民党における平議員らの討議を経て、消費者に確実に損害額が戻ってくるように、そして、一獲千金を狙った訴訟が乱発しないように、ガイドラインによって弁護士の報酬に歯止めを掛けた。前述のアメリカの状況の原因に高額な弁護士報酬があったので、日本では弁護士報酬が被害額に対して単純比例しないよう工夫が凝らされた。
     10月1日前後の報道において、これらの経緯は伝えられていないようだが、一つの仕組みだけで、制度全体が適正化されるという立法技術を私は思い出した。この安全弁が予定通り働けば、消費者保護がしっかり図られていくことが期待される。
     国会議員の活躍などニュース価値がないのであろうか。しかし、汚職や陰謀論だけでなく、たまには素晴らしき政治ドラマを伝えても良いのではないかと。私は思う。 〈秘書W〉

  • 2016年6月17日 14:28

     舛添要一東京都知事の政治資金問題で浮上したインテリジェンスの取り扱いについて記述したく筆をとった。
     インテリジェンス(情報)とは、集められたインフォメーション(生データ)に分析を加え洗練させたものを言う。そして、このインテリジェンスは、国家の外交・安全保障などに関する政策立案や意思決定を行うために用いられ、これによって、各国は直面する危機を回避したり、交渉を有利に進めたりしている。
     戦う前・交渉する前から彼我の能力を正確に把握し、さらに敵の出方が分かっていれば、百戦危うからず。敵の本心はなにか、弱点となる部分はないか、それらを探るため、敵のブレインやその周辺のキーパーソンに近づき、カネ、酒、女、功名心、ありとあらゆる手練手管を使って、相手を籠絡させる。このように、敵と味方の実情を熟知することの大切さは古来、格言にも登場している。
     インテリジェンスの世界では、主要人物の人脈、その面会日時などは、喉から手が出るほど欲しい情報で、それらは厳格に管理されるべき性質のものとも言われる。そのような中、その国のトップの一日の動向をわざわざ詳らかにしているのは日本の新聞社くらいと聞いたことがある。実際に私も首相官邸に人を連れだって行くと、とたん「誰に会うのか」「どんな用件か」と官邸に詰めているマスコミに問い質される。
     さて、舛添都知事の政治資金問題。確かに税金は、適切に使われなくてはならない。"第三者"である弁護士が指摘したように、千葉のスパホテルに滞在した主目的が家族との旅行であるならば、政治活動費として計上するのは不適切である。そのホテルで会談したとされる舛添都知事の政治活動に直結する出版社社長が、実際にはそこにいなかったとしたら言語道断だ。
     しかし、支出した資金を返金する意向が示されたにも関わらず「出版社の社長名を明らかにせよ」という論調については疑問に思う。そして、今後も「政治家が誰に会っているのか明らかにせよ」という風潮が作られていくとしたら、強い抵抗感を覚える。それは、前述のインテリジェンスの世界からすると、他国と渡りあうことをあらかじめ放棄するようなもので、平和前提のいかにも日本的発想だからだ。
     変に警戒しすぎているのかもしれないが、いわゆるカウンターインテリジェンス(防諜)の考え方も頭の片隅に置いておかないと、専守防衛の日本において国を危うくしかねない、ということをこの際に主張しておきたい。 〈秘書W〉

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