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2005年10月19日 16:50 | 活動実績

○谷口委員長 次に、平将明君。

○平委員 私は、自由民主党、新人の平将明でございます。東京四区という、東京の大田区の中小企業の集積をしているところからの選出であります。

 私自身も、議員になる前は大田区にある大田市場というところで中小企業の三代目をやっておりまして、連帯保証しながら、資金繰りに非常に苦労しながら中小企業を経営してまいりました。また資金繰り、貸し渋り、貸しはがしがあった中では、私の取引をしている金融機関が相次いで破綻をいたしまして、そのときに、ほとんど大きな銀行そして政府系金融機関も、少しは助けていただきましたが、なかなかかゆいところに手が届く策ができなかったという実感を持っているところであります。

 そんな中で御質問をさせていただきたいと思いますが、エネルギーの問題は先ほど近藤先生から詳しく御質問がありましたので、私は、中小企業の件に関して御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、中小企業の財務基盤強化のための同族会社留保金課税について、また中小企業の金融のあり方についてでありますが、私も中小企業を経営して、貸し渋り、貸しはがしの中で、いろいろな金融機関を回ったときに、売り上げが伸びている、利益は出ている、将来的にはこうなるという説明をしても、なかなか銀行に評価をされない、銀行は過去の実績しか見ないというようなところがありました。そして、どうしてもバブルのときの痛みがバランスシートに載っていく中で、いろいろな交渉をしながらも、最後の最後は、銀行からこのバランスシートでは貸せませんと言って断られた経験がございます。

 そんな中で、今の日本の税制を見ると、中小企業の財務に着目をすると、銀行の借り入れが実質資本の役割をしている、疑似エクイティーと化しているという現状があると思います。

 そういう中で、中小企業の財務の質の向上へ向けた施策が必要であると考えています。中小企業の財務向上に向けたインセンティブのある仕組みをつくっていく必要があると思うんですが、そうした中で、こうした中小企業の財務を健全化していこうとする努力を邪魔しているのは政府であるという認識を持っております。多くの中小企業が支払いを求められている留保金課税であります。

 確かに、自己資本比率五〇%以上のところにかけていくとかいろいろな緩和措置がありますけれども、中小企業の経営というのは環境に非常に大きく左右されますので、いいときもあれば悪いときもある。今がいいからとそこに課税をしてしまっても、翌年になったら激変をするというのが中小企業の経営であります。

 そんな中で、貸し渋り、貸しはがしの状態になってから税金を使って政府が対策を講ずるのではなく、景気後退で貸し渋り状態になる前に、民間がみずから努力をして準備をしていくような社会環境を築いていく必要があると思います。まさに、民でできることは民でやっていく、小泉政権の方針に沿った考え方であると思います。

 そんな中で、外部からの資金調達が中小企業は実質困難であります。急成長が望めるところは直接金融での資金調達ができますが、ほとんどの中小企業というのはぎりぎりでやっているというのが現状であります。そして、内部留保だけが頼りの中で、中小企業における不良債権処理、バブルのときのいわゆる簿価を時価会計に近づけていかなければいけない、そして、中小企業といえども信頼性のあるバランスシートをつくっていかなければいけない。これに関しても、資本というものを充実させていく必要があると思います。

 今、中小企業の各種団体からこの内部留保の課税についていろいろなお願いが来ていると思いますが、これは、決して中小企業が泣き言を言っているわけではなくて、これからの中小企業金融のシステムを考えていくときに絶対に必要な仕組みである、内部留保、自己資本を充実させていくということは必要なことであるというふうに考えております。

 留保金課税の見直しについて、政府の見解をお尋ねさせていただきます。

○山本(明)大臣政務官 平委員の質問にお答えをさせていただきます。

 平委員は、東京青年会議所の理事長をやっておられたということでございまして、私ごとで恐縮ですが、私も、大分昔でありますけれども、愛知県の豊橋市というところで青年会議所の理事長をやっておりました。やはり、青年会議所でございますので、地域の活性化のため、そして、基本的には中小企業の出身でありますので、これからも中小企業対策についてぜひお力をいただきたい、そんなふうに思います。

 そうした中で、留保金課税の御質問をいただきました。まさに経済産業省の考え方と委員の考え方はほとんど一緒でありまして、平成十八年度の税制改正に向けて、今回、留保金課税の停止措置を継続できるように、逆に廃止ができるように、私どもも一生懸命努力をしておるところでありますので、ぜひ委員のお力もいただきたいな、そんなふうに思っております。

 今委員も御指摘いただきましたように、この制度というのは昭和三十六年に創設されたんですけれども、当時の所得税を見ますと、当時所得税は七〇%でありました。それが、法人税はどれだけかといいますと三八%でありました。したがって、その差が大変大きい。中小企業というのは悪いのも多いじゃないかというような、そんな発想もあったようでありまして、そうした間隙を縫って、会社にためて税金逃れをして、所得税逃れをして、そして、会社の方で安い法人税でその分を穴埋めする、そういったことから創設をされた税金であります。

 しかし、委員御指摘のように、やはり、中小企業も今は自分の財務体質をしっかりするということの方が大事でありまして、そうでなければ銀行は金を貸してくれぬわけでありますから、そんな経営者は今はほとんどいない、私もそんなふうに思っておりますので、我々としても、委員の御指摘の形でこれから進んでいきたい、こう思っております。

 内容につきましては、今委員も御指摘がありましたけれども、中小企業の自己資本比率が五〇%以下のところと創立後十年以内の中小企業、そして、今回中小企業新法ができたんですけれども、その新法の中の経営革新計画承認企業、これについては留保金課税を停止させていただいておるわけでありますけれども、平成十八年度でこれが切れるということでありますので、それが切れないように最善の努力をさせていただきたいというふうに思っております。

 私も本当に全く同じ考えでございまして、これは当然廃止に向けて進んでいくべきだというふうに考えておりますので、ぜひ力を合わせて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○平委員 ありがとうございます。ぜひ廃止をするという方向でやっていただきたいと思っております。

 続きまして、議員になる前に、経済産業省産業構造審議会の基本政策部会で委員をやらせていただいておりまして、日本の全産業の生産性をいかに上げていくかといういろいろな議論をさせていただいたわけでありますが、国際競争力が激化する中、また人口が減少していく中で、持続的な経済成長を担保するために、日本の国の新産業創造育成のために、新たな技術の研究開発、実用化、そして、その技術の融合というのが極めて重要になってくるわけであります。その積極的支援措置を講ずる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○肥塚政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話しのとおり、研究開発の成果をもとにして新製品の開発を図り、事業展開を図って新たな市場や産業をつくっていくという民間企業の役割、あるいは民間企業の研究開発の推進というのは、非常に大事だというふうに思っております。

 経済産業省においては、民間からすぐれた技術の実用化開発に関する、例えば提案を募集して助成する制度を実施しておりますけれども、そういう事業の実施に当たりましては、技術や事業化の専門家によって最新の技術動向を踏まえて採択審査を行うとともに、製品化や事業化に関する指導や助言ということにも取り組んでおります。この事業の支援を受けて事業化に成功する事例も生まれてきておりますけれども、今後とも民間企業の研究開発に対する支援措置を充実していきたいというふうに考えております。

 それから、今先生のお話がありましたように、融合領域、異分野の融合によってイノベーションが起こるというのも非常に多くなってきているというふうに思っていまして、そういう点にも留意しながら研究開発を支援していきたいというふうに考えております。

○平委員 関連をいたしますが、経済産業省の基本政策部会でぜひ発言をさせていただきたいなと思っていたのですが、その機会もなくなりましたので、今、日本の全産業の生産性を飛躍的に上げていく、例えば、経営革新であるとか人材育成、イノベーション、いろいろありますが、一つ私は着目すべき点として、言語の壁を越える。日本人は英語がネックになっていてなかなかグローバルに活躍ができない、それが見えない障壁になっているというところがあります。

 実は、東京のベンチャー企業で画期的な翻訳ソフトをつくっている会社がありまして、今までの翻訳ソフトというのは単語掛ける文法で翻訳をしていたのですが、それを一回ネットの海に入れて検索をかけるんですね。そうすると、正しい日本語というか、一番よく使われている日本語が、一番ヒット数が多くてそれを自動的に翻訳に出してくるというような、今のインターネット社会ができたからこそできる、そういう翻訳ソフトなんかが今開発をされているところであります。

 そして、それのみならず、日本の非常に得意とするいわゆるPC、コンピューターのようなものをウエラブルにする、小さなものにしていく、そして、自動音声認識装置等も集中的に開発をしていく。そういうことを組み合わせれば、既存の技術を少し進めるだけで、そして複合するだけで、もしかしたら本当に二、三年のうちに日本は言語の壁が乗り越えられるかもしれない、そんな可能性もあるわけでありますので、今、ロボットや燃料電池等いろいろな分野に特化をされておりますが、ぜひ言語の壁を越えるというような部分についてもフォーカスをしていただいてやっていただければというふうに思いますし、また、産業構造審議会基本政策部会の方でもぜひ御検討をいただきたいと思います。

 続きまして最後ですが、今、中小企業の対策に関していろいろな議論がされているのですが、中小企業の現場ではどういうことが起きているかということを一つ御紹介したいと思います。

 去年の消費税が内税になったときに、スーパーを初めとした小売業は、価格が今までの価格競争プラス消費税が内税になったものですから、非常に過当な価格競争になりました。そんな中で消費税の五%を取ることができないという状況に陥りました。

 そして、何が起きてきたかというと、取引先の問屋、特に中小の問屋に対して、バックマージンというものが商慣行であるんですけれども、それに上乗せをしてくるというようなことがあるわけですね。今までバックマージン三%でやってくださいというものを、極端な例で言えば消費税分そのまま、八%、バックマージンを来月からふやしてください、そういうようなことがあるわけです。そして、その分は価格に転嫁をしてくださいと言うんですけれども、そんなことはできるはずもないです、競争の中で。

 そういうようなことが、実際、中小企業の現場で起きているわけでありまして、幾ら金融とか細かい制度設計をしたところで、そういうことがまかり通る。大手と中小企業の間でそういう不公正な取引がある以上は、本当に有効性のある政策というのはきいてこないと思うんですね。そのような実態についてどのように把握をされているのかということと、今後、ぜひそういう分野については厳しく、公正な取引が担保できるようにしていただきたいと思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

○舟橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども公正取引委員会といたしましては、大手スーパーや大手の量販店、こういったところによる優越的地位の乱用行為、そういうふうに言っておりますけれども、この中には、先生今御指摘のあった消費税分を問屋から取るとか、ほかにもいろいろな協賛金、リベートを取る、それから棚卸しに際しては人を出せと言ったりとか、いろいろな行為が含まれ得るわけでございます。

 この優越的地位乱用行為の問題につきましては、私どもは次の三つの取り組みをしてきておるところでございまして、一つはルールをきちんと明確化する、それによってコンプライアンスなりその予防効果を高める、こういうことでございます。ことしの五月でございましたけれども、これは告示という形でどういう行為がこれに該当するかということを明らかにしたところでございまして、この告示は来月の一日から施行になることになっておりますけれども、十ほどの行為を指定いたしておるところでございます。現在その周知をしておる。

 それから第二は、先生も御指摘ございましたけれども、実態調査、これは従来から定期的に行ってきておりますけれども、最近では昨年三月、それからことしの二月にそれぞれ実態調査の結果を公表いたしております。昨年三月には消費税の総額表示移行に伴う問題、それから、ことし二月は大規模小売業者と納入業者の取引に関する問題、その実態調査を行いまして、必要な場合にはその改善指導というのを行ってきておるところでございまして、今後も、先ほど申し上げた告示が来月から施行になりますので、来年度もまた実態調査を行いたい、そういうふうに考えております。

 それから最後に、三番目でございますけれども、違反行為に対する厳正な対応ということでございまして、今後もそういう大手スーパー等の大規模小売業者、これが独禁法違反行為をした、しているんじゃないか、そういう端緒に接した場合には、私どもとしては厳正に対処をいたしていきたいということで、ルールの明確化、実態調査、それから厳正な対応、こういう三つのルートといいますかアプローチでこの問題に取り組んでおるところでございます。

○平委員 ありがとうございました。

 私の認識では、現状は全く改善をしていないということであります。そして、規制緩和が先行しておりますけれども、独占禁止法の運用強化とは表裏一体でありますので、そこで中小企業にしわ寄せが全部来るような、そういうことだけはぜひ避けていただかなければいけないし、今後も監視を強めていただきたいと思います。

 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

経済産業委員会にて初質問1

所属する経済産業委員会で初質問。(議事録別紙参照:映像別途) 中川経済産業大臣ら政府関係者に日本経済の再生を中小企業政策等の切り口で迫る。

経済産業委員会にて初質問2

まずは中小企業の留保金課税について。日本の中小企業の財務体質の弱さの原因となっていることを指摘。今後のあるべき中小企業金融を考えれば留保金課税は廃止すべきだと主張。

経済産業委員会にて初質問3

次に、日本の全産業の生産性を飛躍的に向上させる手段として、ターゲットを絞った政府主導の技術の融合が必要と主張。具体例として、画期的翻訳ソフトとPCのウエラブル技術、音声認識装置技術の融合による「言葉の壁」の破壊を提案。

経済産業委員会にて初質問4

最後に、規制緩和と独禁法の運用強化は表裏一体との考えから、大企業と中小企業の公正な取引を担保するために、公正取引委員会の認識を質す。

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