第26回カフェスタトーク【東京情報大学教授 堂下浩】

2012年7月30日 13:00 | カフェスタトーク

資金の調達の際、人はまず、銀行に相談します。銀行で低利な資金を得られない人は、ノンバンクと呼ばれる消費者金融に足を運びます。資金を得られてビジネスで成功する人や急な資金ニーズを凌げる人がいる一方で、借金が返せず多重債務者となり、止む無くヤミ金融に手を染め、そこから抜け出せず自ら命を絶つ人も少なくありません。こうした背景を踏まえて、東京情報大学の堂下(どうもと)浩教授と金融市場に造詣が深い平将明議員が貸金業法の在り方について熱く語ります。パート1・パート2連続の、104分特別バージョンです。

 多重債務者の自殺が社会問題となり、2006年、貸金業法の改正が実施された。その根拠は「上限金利が高いから返済できなくなり、悪循環でヤミ金融に手を出し、追い込まれて自殺する人が増えている。よって、上限金利を下げれば、自殺者も減る。」であった。しかし、この規制強化は、多重債務者の分析が不十分なままに実施されたもので、その後、数多の問題点を露呈することになった。と平議員と堂下教授は共通の認識を語る。
 当時問題となった「グレーゾーン金利(違反には刑罰が科される「出資法」のかつての上限(29.2%)と「利息制限法」の上限(20%)の間の金利帯)」や金利は低いが担保主義のために借りにくい「日本の金融市場の特徴」などを解説。改正で行われた上限金利の引き下げと総量規制(年収の3分の1を超える貸付の禁止)は結局、根本的な解決にはつながっていない。商売のために積極的な資金を必要としている人は借りられず、他方でヤミ金融を利用する人が依然として多いということである。堂下教授は、リストラ、失業、病気、怪我などでやむを得ず多重債務に陥ってしまう人には自己破産やリスケジュールで救済を行い、自己管理できず、多重債務に陥ってしまう人に対してはカウンセリングなど社会保障の枠組みによる救済が有効ではないかと述べた。
 これら貸金業法再改正への基幹について、多角的な検討が行われた。

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