【秘書ログ】 「年金運用実績、5兆円の黒字」が"普通に"報道されることに抵抗感あり。

2013年3月 7日 19:54 | 秘書ログ
 昨年10~12月期の年金運用の実績が"収益率4.83%で5兆円の黒字"だったというニュースが先週報じられた。アベノミクスへの期待感による国内株式の上昇などが要因とのことだが、今年度の収益率が、昨年の4~6月期がマイナス1.85%、7~9月期がプラス0.49%だったところ、10~12月期がプラス4.83%であったことから、今回はかなり高い収益率だったことが分かる。
 資産運用は一般的に、国内株式、海外株式、債券など様々な投資対象に個別の銘柄を組み合わせて売買するので高いスキルが必要だが、年金のように毎年一定のお金を預かり長期的に運用する場合は、投資スキルより経済政策の寄与度の方が高いことが多々あり、今回もそれに該当するものと思われる。
 例えば、毎年1,000万円のお金を預かり日経平均株価に連動する金融商品に投資し、①10,000円で買って8,000円で売る(損切りする)場合と、②8,000円で買って10,000円で売る(利益を確定する)場合を考えると、10,000円から2,000円下がった後に元の金額まで上がっただけにも関わらず、①では200万円の損失、②では250万円の利益となり、上昇局面②の方が50万円得することになる。
 つまり、年金運用に関して言えば、経済音痴の政権下で株価が低落すると、次にまともな政権が現れ株価が反発したときの効果は極めて大きくなるのだ。ただし、これだけ特殊なケースでようやく4.83%の運用利回りなので、平成21年に厚生労働省が「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」で設定した収益率4.1%はかなり高い目標と言え、今後こそ投資スキルの見せ所である。報道の仕方に異議あり。〈秘書W〉

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