【インターンによる発信 『若い声』】 イギリスで見た「クールジャパン」

2015年3月20日 18:33 | 若い声

 インターンのA・Mです。私は13年にわたるイギリス生活の後、2013年に帰国した学生です。平議員がクールジャパン戦略担当の内閣府副大臣ということもあり、私はイギリスで目の当たりにしたクールジャパンの実態とクールジャパン戦略の今後について考えてみたいと思います。

 イギリスにおいては、日本の漫画やアニメ情報誌が発刊されるようになった90年代初頭以降、「コミックは子供のもの」というのが常識でしたが、2003年に宮崎駿監督が英国アカデミー賞を含む海外の賞を総なめにしたことを契機に、大人を含めて日本の漫画・アニメに興味を持つ人が爆発的に増えました。

 このような市場の急激な拡大により、日本の漫画・アニメを配信する会社や正規に翻訳された作品が増え、どの書店やビデオ店でも並ぶようになりましたが、輸入、翻訳、ライセンス等のコストが加わるため、既存のエンタメと比べて高価でした。他方で、これと並行し、普及していたインターネットが海賊版を増殖させました。

 ファンたちは、日本と同じ時期に同じ作品が見たいため、非正規に翻訳し、台詞や字幕を施し、ネット上で無料配信します。これによって、高価格傾向の正規版の漫画・アニメは利用されず、正規版を扱う現地会社の倒産が相次ぎました。さらには、正規版を買っていた層もアクセスを失い、海賊版に依存せざるを得なくなりました。海賊版でも日本の文化は広がるかもしれませんが、日本のコンテンツ産業は発展しません。

 私が考える対応策は、イギリスでの価格を日本並みにすることを狙い、現地翻訳業者も流通業者も通さず、インターネットを活用し、日本の出版会社等が直接販売に近い形を採ること、及びコンテンツの提供を日本での発売や初演時期と合わせることです。このような工夫を企業が早急に広範囲に実施すべきですが、漫画・アニメの海外市場規模が充分に拡大するまでは、産業政策としての国の後押しが不可欠です。

 平議員の副大臣就任後、クールジャパン有識者会議に占める海外の方が増えました。これにより、日本が売り込みたい日本酒や陶器などのクールジャパンと現地が真に求めているクールジャパンの差が埋められ、日本のコンテンツが日本の貿易収支に更に貢献するという方向にクールジャパンが進化するものと楽しみにしています。

ガンダムとビッグベン.png

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