2015年4月27日 09:35 | 若い声
元インターンのK・Nです。私は昨年末までのインターンですが、書きかけの原稿がありましたので、今回、特別に寄稿させていただきました。
平事務所インターンとしての私の日々はとても刺激的なものでした。とりわけ感動的だったのが、自民党の起業大国推進グループ(平代議士が主査〈当時〉)の運営をお手伝いする中で、起業家の憧れの的・田中良和(株式会社グリー(GREE))社長の話を直に聞く機会に恵まれたことです。
田中社長は、企業が成長する上での悩みとして、「今日の正社員保護に偏った日本の雇用制度では、成長を目指す企業にとって正社員を増やすことはリスクが高く、人材が必要でも採用を躊躇してしまう」と、ご自身がソーシャルゲーム事業の業績悪化で人員整理をした苦労から率直に語られました。私が学習したところでは、日本で正社員を整理解雇する際には、四つの要件が判断基準となっていて、その一つの解雇回避努力義務が「非正規社員の削減と新規採用の停止」を求めているとのことです。もちろん既存の社員の保護は大切です。しかし、新しい事業を立ち上げ再出発したい企業・経営者にとっては、新たな人材こそ大切で、そのチャンスがこの規定によって奪われると、企業の再生を阻害されるだけでなく、企業経営そのものが危うくなり、結局全ての社員の職が失われることにつながりかねないという指摘があります。
アメリカでは、労使間の合意によって、企業が柔軟に採用と解雇ができるそうです。また、青色LEDの開発により、ノーベル物理学賞を受賞した米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授も、「誰もが起業しやすいように、日本には人材が流通する仕組みが必要」と述べています。
現実には、政府の施策として、社会人がキャリアアップするための「学び直し」や労働移動支援助成金などがあるのですから、これらとうまくパッケージ化できれば、企業の成長や再生を後押しし、起業大国実現への大きな足がかりとなるものと思われます。
日本においては起業すること自体の困難さがよく語られてきました。確かに、「中小企業白書2014」によれば、2010年の比較で、フランスの開業率が18.7%(廃業率12.9%)、アメリカの開業率が9.3%(同10.3%)なのに対し、日本の開業率は4.5%(同4.1%)と大きな開きがあります。しかし、起業ばかりでなく、その後の成長を後押しする仕組みを作ることが、世界に通用するベンチャー企業の創出・育成には不可欠なのです。私は、民間企業で働いている今だからこそ、世界レベルのベンチャー企業の誕生に(自らが主役になることを含めて)期待を寄せています。