2018年4月16日 19:25 | 秘書ログ
平議員が命名した「地域未来牽引企業」や「超精密ターゲティングポリシー」はどのようにして生まれ、政府の政策になっていったのか。政策立案プロセスを振り返りたい。
政府の政策といっても必ずしも霞ヶ関官僚が一から作っているわけではない。たとえば成長戦略の場合、近年のパターンは、自民党から出される提言と政府内でブラッシュアップした政策を併せて、日本の成長戦略としている。その中で、政策の新機軸は自民党の提言によるものが多いものの、内容は、各省庁からのアイディアだったり、業界団体からの要望だったりで、それらをホチキス止めして"自民党の成長戦略"と銘打つことが通例であった。このように、これまでの政策立案は主として官僚によるボトムアップ型となっていたことから、各省庁として推し進めたい政策の寄せ集めだったり、従来の延長線上の内容だったりすることが多かった。
だが、平議員の政策立案手法は従来とは異なっている。「経済構造改革戦略:Strategy5(H29.4.28)」のときは、最初に茂木政調会長から、①地域経済の活性化、②イノベーションの創出、③金融資産の活用強化という重点分野が指定されると、それらの政策の現状を官僚に確認した上で、企業経営者、企業の開発担当、コンサルタント、大学教授、シンクタンクの研究員などあらゆる関係者を呼んでヒアリングを重ね、問題点を浮かび上がらせた。そして、自ら課題を設定して、その解決のためのアイディアを官僚に伝えるという、いわばトップダウン型の政策立案手法であった。そのため、各省庁の所管や規制にとらわれない理想形から政策を作ったり、斬新なアイディアが生まれたりした。
また、平議員が政策立案をする上での土台にあるのは、エピソードよりエビデンスを重視する姿勢だ。前回の①の秘書ログで述べた地域未来牽引企業はエビデンス、それも膨大なビッグデータに基づいて一義的にはRESAS(地域経済分析システム)で選ばれている。
これらの平議員の手法は、従来型の自民党の政策立案を想定していた霞ヶ関官僚に衝撃を走らせたという。自分たちのやりたい政策を短冊に書いて意見照会が来るのを待っていたら、それを出すタイミングもなく提言書が出来上がってきたからだ。
だが、従来の政策との整合性、自分たちの判断の無謬性、を旨とする官僚が主導するのでは、新しい着想による成長戦略の策定を行うことは難しい。「Strategy5」を見ていただければ分かるが、政治主導でなければ政策転換はできない。つまり、平議員による政策立案の手法もパラダイム転換であったのだ。 〈秘書W〉