2018年4月16日 19:30 | 秘書ログ
与党による衆議院本会議や各委員会での国会質問の意義とは何か。野党による国会質問に比べて報じられることは少ないが、政策立案の背景にある社会的な課題を明らかにしたり、世の中の一般的な疑問に答えたりすることが多い。
そのような質問内容になる理由は、政府からの答弁は聞かれたことについてのみ答えるという制約(衆議院規則第百三十四条など)があるため、野党から政策の根幹部分の質問がなされない場合に与党が聞いておかないと、国民が政策の目的を知る機会のないまま、法律化、予算化されてしまうからだ。
この点においても、平議員の質問は一般的な与党の質問とは一線を画していた。それは、前回の②の秘書ログで書いたが、政策立案者自身がその政策についての質問に立つという性質のものだったからだ。
一般的な国会質問と同様、平議員が経済産業委員会で質問することが決まると、役所が法案のレクチャーや質問内容の聴取にやって来た。そこで、地域未来牽引企業の現状を確認すると「選定された企業におけるご理解が広まるとともに、民間の金融機関による自主的な融資の流れも生まれている。今後も担い手を発掘して追加していきたい」とのことであった。すぐさま平議員は「地域未来牽引企業は、政府が選定した企業を支援する仕組みであるので、データ・ドリブン(データを活用し新たな価値を生み出すこと)でなければならない。そのため、毎年毎年、定量的な視点から見直し、ミシュランガイドのように一度選定されても入れ替わりがあり得る制度とすることが重要。何故このフィロソフィーが変わってしまったのか」と指摘。この案件は、役所に持ち帰って検討され、経済産業委員会では結局、政策立案者である平議員の意向に沿う形で大臣が答弁した。
察するに、役所側が地域未来牽引企業を選定し公表することを企業側に説明して回る中で、一度選定された後に選定から漏れると印象が悪いとの苦情を受けたため、政策の方向性を歪めたのではないか。だが、それでは地域経済の向上とは関係のない企業を既得権益として支援することになるので、平議員は譲らなかった。
自民党で立案しその後政府の政策に反映された後、行政が執行する段階で政策の方向性が変わる。想定されにくいことではあるし、立法した後の細かい部分は行政に任さざるを得ないところであるが、フィロソフィーはしっかり理解しないと誤った方向に政策が進んでしまう。そんな事例であった。
なお、実際の経済産業委員会における質疑の状況について次の動画や記録をご覧いただきたい。〈H30.4.6 衆議院経済産業委員会(世耕大臣VS平将明)〉 また、RESASや地域未来牽引企業については、平議員も出版に協力した「ビッグデータで選ぶ地域を支える企業」(帝国データバング著、日経BP社)に掲載される予定なので、是非手にとっていただけたらと思う。 〈秘書W〉