2021年3月10日 14:45 | 秘書ログ
自民党の成長戦略「生産性革命推進戦略」に、「錦鯉特区」が記されたのは、平議員が自民党経済構造改革特命委員会の事務局長を務めていた2017年11月のこと。錦鯉生産者は、錦鯉が海外で人気を博しているので養鯉池を増やして生産を拡大したい。一方で、農家は高齢化や後継者不足による耕作放棄地などを錦鯉生産者に貸し出したい。これらウインウインの関係にあるニーズに応えるため、農林水産省は、農地の養鯉池への3年間の一時転用を認めてきたが、それでは期間が短く安定的計画的に取り組めない。そこで、国家戦略特区にクールジャパン特区という新しい枠組を作って、錦鯉発祥の地である新潟県内限定で転用期間を更に延ばせないか検討を重ねてきた。
平議員が最初に錦鯉生産者の話を聞いたのは、更に2017年3月まで遡る。海外では錦鯉の需要が伸び、オークションでは高値で取り引きされている。それならばと、外需を取り込む策として、①ヨーロッパでブーム → ②アジアの富裕層に人気が波及 → ③盆栽など他の日本庭園のコンテンツもセットで販売 → ④輸出拡大 という構図を描く。日本の伝統文化を海外で再評価させ価値を増大させる一種の生産性革命だ。
続いて輸出に並ぶ外需の取り込み策のインバウンドについて、 ①海外の富裕層やバイヤーがオークションのため来日 → ②民泊での長期滞在や域内での消費行動 → ③錦鯉のデジタルアートや赤色・黒色・白色の錦鯉色で統一された街並みの創出など魅力アップ → ④インバウンド拡大 を描く。これらの呼び水となる錦鯉の生産拡大のためには、養鯉池の確保が不可欠で、その要が農地の転用となる。
ところで、農地法は、第一条の目的に記されている通り、「国民に対する食料の安定供給の確保」のため、農地を農地以外のものにすることを厳しく規制する。また、安定供給のために、「農業振興地域の整備に関する法律」に基づいて、区画整理や用排水路の整備が集中的に行われる農地もある。このため、農地転用について農林水産省の腰は極めて重い。
このような中、2019年2月に自民党錦鯉文化産業振興議員連盟が発足した。会長が浜田靖一 元防衛大臣、幹事長が平議員、幹事長代理が小泉進次郎 環境大臣という布陣で、特区構想を加速させるべく農林水産省と継続的に協議してきたところ、本年3月になって、農地の養鯉池への10年間の一時転用(再延長も可)が認められた。
ただし、今回の措置は新潟県内限定で認められたわけではなく、結果として日本全国で一時転用の期間延長を実施することになったため、正確には錦鯉特区とは言えない。国家戦略特区は、全国一律でかけている規制の網を地域限定で突破する仕組みであるため、所管官庁からすると、特区で規制の体系が崩されるならば全国でというマインドになりやすく、過去にも平議員の取り組みで、年一回だった保育士試験を国家戦略特区内に限って年二回にしようとしたところ、全国で実施されることになった事例がある。
ビジョンや政策をぶち上げるだけ、役所に言うだけ、という国会議員も多いと見られる中、最後までやり切り結果を出すのが平議員だと思う。そのような平議員の手腕を頼った案件が後を絶たないため多忙を極めているが、次の政策実現にも期待が高まっている。 (秘書W)