【秘書ログ】 デジタル遷都3か年計画(下)

2021年9月17日 20:05 | 秘書ログ

 2020年9月にIT担当副大臣を退いてからの平議員は、自民党デジタル社会推進本部(座長:甘利明 元TPP担当大臣)の座長代理に就任し、毎朝8時からの会合において、デジタル庁設置を含むデジタル改革関連法案の議論をリードした。また、2,000ページにわたる法案がまとめ上げられた後は、衆議院内閣委員会の理事として、国会の審議における野党との調整役を担った。地方自治体が政府に先行して個人情報保護に取り組んできた歴史を背景に「行政機関が持つ個人情報の利活用の限定化」など野党が求める中、後述するデータ流通の世界戦略の観点などから、法律の理念を守りつつ法案成立へと導いた。このようにデジタル庁が早期に誕生した背後には、デジタル庁の構想段階から法案成立まで尽力した平議員の存在があった。

 デジタル庁発足に先立っては、オリパラアプリで不適切な発注事案もあったが、週刊誌で同問題が報じられるとすぐに自民党に調達ガバナンス小委員会(小委員長:山下貴司 元法務大臣)が設置され、問題点を洗い出すとともに対応案を検討し、「調達ガバナンスに関する提言」を政府に示した。デジタル庁では創設時にコンプライアンス委員会を立ち上げるなどの対策を速やかに講じている。

 ところで、マイナンバーカードの機能がスマホに搭載できるようになるのが2022年度中、公的給付金の迅速給付のための預貯金口座とマイナンバーとの紐付けの運用開始も2022年度中、更には、地方自治体とのシステムの統一は2025年度末という目標が掲げられるなど、デジタルガバメントの完成にはまだ4年半ある。それまでの間も、制度上の不手際だけでなく、システムの不具合もあるだろう。しかしながら、民間では様々なシステムやアプリが、トライ&エラーを繰り返しながら完成させるアジャイル開発が中心になっていることに鑑み、デジタル庁についても軌道に乗るまでは寛容さが大切で、「政府に完璧を求める」日本人気質の変化も必要と平議員は言う。

 そして、平議員はその先に日本の最重要国家戦略としてのDFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)推進を見据えている。DFFTは2019年1月のダボス会議(世界経済フォーラム)で安倍総理が提唱したもので、同年6月のG20大阪サミットではデータ流通の国際ルールづくりの必要性が各国首脳と共有された。データ・ドリブン・エコノミーが拡大する中、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)を抱えるアメリカが原則自由な個人情報利用を進め、EUでは「データは個人のもの」という原則に基づく規制が行われ、中国は中央集権的に国家が個人情報を利用できる体制となっている。このデータ覇権争いの中で日本がDFFTを広げていくには、日本国内でのデータの統一を避けて通れない。このための平議員による国会での調整でもあった。DFFTについてはいずれまた書きたい。 (秘書W)


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