【秘書ログ】 日韓通貨スワップが"再開"できる理由とは

2023年7月 3日 13:05 | 秘書ログ

日本と韓国両政府は6月29日、日韓通貨スワップの再開に合意した。このことは、大手新聞社が翌6月30日の朝刊一面トップで報じるなど各マスコミが取り上げている。


日韓通貨スワップとは、日本と韓国当局が、相互に米ドルや自国通貨を交換することで、金融セーフティネットを強化する取極である。


1997年のタイに端を発したアジア通貨危機を契機に、2000年5月にアジア各国との通貨スワップのネットワークであるチェンマイ・イニシアティブが合意されたが、韓国経済が打撃を受けていたこともあり、その中には日本と韓国との協定も含まれていた。また、その後の経済情勢の悪化により独自の枠組みで上乗せとなる日韓通貨スワップも結ばれていたが、日韓通貨スワップは2013年7月、チェンマイ・イニシアティブは2015年2月に失効した。


今年3月、韓国政府による旧朝鮮半島労働者問題に関する措置(韓国政府傘下の財団が韓国の判決で賠償を命じられた日本企業に代わって原告に支払う措置)の発表、韓国の尹大統領の来日によるシャトル外交の再開など、日韓関係が健全化されていく中で、金融協力として合意されたのが日韓通貨スワップの再開だった。


ところで、この日韓通貨スワップの再開が外交のカードになっていたのは、「再開」できる状況にあったからに他ならない。「再開」にするためには一度閉じられている必要がある。


今から10年前の2013年6月、日韓通貨スワップの上乗せ枠30億ドルが7月の期限を前に自動延長されようとしていた。韓国側からの延長要請がなかったにも関わらずである。むしろ、韓国の政府高官からは「韓国が求めているものではない」(※注※)という発言も出ていた。


事なかれ主義というのか、財務省が自動延長しそうな気配を読み取った平議員は、木原誠二自民党財務金融部会長代理(当時)に「日韓通貨スワップの自動延長」を議題とした会議の開催を要請。2013年6月21日の自民党財務金融部会の議題は「(2)その他」という何を議論するか不明瞭なものであったが、まさにこれが「日韓通貨スワップの自動延長」についてであった。そして、平議員の発言により、場の空気は「自動延長は認められない」ものになった。


これを受け、菅義偉官房長官(当時)がその日の午後の記者会見で「韓国側があまり必要でないということであれば、日本としてはそこまで」と述べ、7月3日に日韓通貨スワップは失効した。


今年6月30日の新聞紙面では当時の経緯について「日韓関係が悪化し2015年に失効した」としか記載されていないが、その裏では平議員らの時宜を捉えた行動があった。


外交よりもデジタル系の活動について取り上げられることの多い平議員であるが、「日韓通貨スワップ再開」の報道に接し、かつての平議員の行動が思い出されたので、平議員の国会活動の一つとして紹介させていただくこととした。 (秘書W)


※注※ 確実な証拠に基づくログを残すことを旨としているところ、「韓国の政府高官が「韓国が求めているものではない」と発言した」ニュース記事を探せなかったため、この部分は当時の記憶に基づきます。


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