2023年10月18日 16:30 | 秘書ログ
ところで、長年課題とされてきた「年収の壁」対策。なぜ急に動き出したのか。時系列で追う。
今年1月23日に岸田総理が施政方針演説で「女性の就労の壁となっているいわゆる103万の壁(原文ママ)や、130万の壁といった制度の見直し」を表明。
1月30日の衆議院予算委員会で萩生田光一自民党政調会長が「負担が発生することを防ぐために、年収の壁の手前で抑えようとして、労働時間を調整してしまっているわけです。年末、あちらこちらで、労働調整でもうシフトが組めなくなってしまった」と人手不足について問題提起。
2月1日の衆議院予算委員会で平議員が「今何が起きているかというと、人手不足です。時給を上げます、時給を上げると、働く時間が少なくなります、年収の壁を越えちゃいけないので。ですから、働き控えが起きます。人手不足が更に進みます。なので、時給を上げます、そうすると更に時間を削るという無間地獄に今なっているんです」
と人手不足と時給アップの構造的な問題を指摘。
これに対して、岸田総理が、
「問題意識、受け止めて、政府としてどんな対応ができるのか、今申し上げた考え方に基づいて、これは幅広く対応策を検討してまいりたいと思います」
と答弁し、「年収の壁」打破の方向性が固まる。
翌2月2日、萩生田政調会長が記者会見で「年収の壁」について党で議論していくことを明らかにし、平議員が事務局長を務める自民党新しい資本主義実行本部で引き取ることになる。
これ以降、自民党新しい資本主義実行本部で役所やシンクタンクを交えた議論を重ね、5月30日の自民党新しい資本主義実行本部提言(自民党のいわゆる成長戦略)で「人手不足への対応」として盛り込み、6月16日の政府の「経済財政運営と改革の基本方針2023(いわゆる骨太方針2023)」で「「年収の壁」について、本年中に決定した上で実行し、さらに制度の見直しに取り組む」と明記。
平議員はその後も、厚生労働省と実効性ある制度設計についての打ち合わせを事務局長として継続。
9月25日の岸田総理の経済対策についての記者会見で「若い世代の所得向上や人手不足への対応の観点から、「年収の壁」支援強化パッケージについても、週内に決定し、時給1,000円超えの最低賃金が動き出す、来月から実施してまいります」と表明し、10月からの施行となる。
実は1月の総理の施政方針演説の前、更に遡った昨年12月には、平議員の自民党政調会長室への訪問があったり、政府高官との打ち合わせもあったりした。だが、仕掛けた人物が誰であろうと社会にとって意義のあることなので、その功績はひとまず脇に置いておく。 (秘書W)