ゲストは慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長(教授)の竹中平蔵氏です。竹中教授は小渕、森、小泉、安倍の各内閣で政府委員や財政、金融、郵政民営化等を担当する大臣に就任し、それぞれの場面で先導的役割を果たしてこられました。今回は、第二次安倍内閣の産業競争力会議メンバーとしてダボス会議に参加された時の話から伺います。
【要約】
まずは竹中平蔵教授からダボス会議の報告が行われた。本会議は、①欧州中央銀行によるスペイン国債の無制限の買い支え、アメリカでの量的金融緩和政策の実施予定、日本の政権交代、これらを受けて世界経済が良くなるのではという期待感のもとに明るい雰囲気で行われたということ。②安倍内閣の経済対策への評価が高かったこと。③日中関係の緊迫化へ強い懸念が世界で示されたこと。この3点が特徴的であったと竹中教授は述べた。
次にアベノミクスについての議論が行われた。竹中教授は安倍首相が掲げる3本の矢のうちの財政政策については、お金を使うといった短期的な財政出動は打ち出しやすいが、中長期的な財政再建こそ忘れてはならない。今後は歳出を抑える中で、経済の活性化・不良債権の処理・規制緩和を追及することによって税収を増やし、財政再建を行うことが重要であるとした。これを受けて平議員は、財政出動や公共事業が無駄に行われることへの懸念について触れた。常に費用対効果を吟味して、東日本大震災の復興・首都直下型地震への減災対策など、対応が急がれ、しかも合理性のあるものに対しては前倒しで財政出動をしていくことが大切であると述べた。
竹中教授は3本の矢のうちの成長戦略については、企業にとって税負担が少なく自由に創意工夫を行える道筋を政府がいかに示せるかがポイントであると述べている。