中小企業金融円滑化法、いわゆるモラトリアム法は、民主党政権下で金融大臣を務めた亀井静香国民新党代表(当時)の提唱により立法されたものだが、自公へ政権が復帰したとき、昨年度末の期限で打ち切るべきか延長させるべきか、その対応方針が問われた政策の1つであった。
同法は、リーマンショック後、日本の中小企業が資金繰りに苦しむ中、金融機関に対し貸付条件の変更等に応じるよう要請したもので、30万~40万の中小企業が対象となった。確かに中小企業の救済は重要な課題であったが、マーケット自体が縮小している業界、海外と比較して優位性に劣る業界なども、同法で際限なく救済することは、成長産業へ労働者の移動を促し、国内産業の新陳代謝を活発にさせるべきとする自民党の考えとは相反するものであった。
この根本思想もあって、自公政権は、同法の打ち切りを決意したのだが、前政権が残した悪しき政策だとしても、時の政権は悪影響を軽減し、その軟着陸を図らなければならない。当事務所の平議員が、折しも経済産業省の大臣政務官に就任したとき、この問題に直面したため、どうこの難局を乗り切るか、経済産業省の官僚と侃々諤々意見を交わしていたことが思い出される。そして、政策パッケージが出来上がった。中小企業金融円滑化法の期限到来に当たって講ずる総合的な対策
ひるがえって、一昨日の"報道"を冠する某番組。キャスターは、モラトリアム法の期限到来による中小企業の倒産増加の懸念について取り上げたが、私は当然、「でも、中小企業の皆さん、安心して下さい。政府が中小企業の実情に応じた様々なメニューを用意しています。まずは、お近くの相談窓口にお問い合わせ下さい。」と続けるのかと思ったら、そのようなコメントはなく、不安感を煽ったまま終了させた。
平議員が会長を務める自民党の"あきんど議員連盟(国会議員が自発的に立ち上げた勉強会)"において、「地元にこのペーパーを大量に配りたいから速やかに議員事務所に届けてほしい」と役所側に要請した数多くの国会議員がいたこと、自民党政務調査会からも地元で活用するようにと各議員事務所に同資料が大量に配られたことを思い出すと、視聴率15%のこの番組は、編集方法が悪いだけなのかもしれないが、自分たちを誰よりもこの事態を憂慮した人格者のように映し、その上で視聴率が取れさえすれば、国民の幸せはどうでも良いと考えていると思えてならない。国会議員が一生懸命地元で資料を配ったり、細々とホームページやツイッターで紹介したりするより、伝播力は明らかに大きいはずなのにである。
これまでは、この手の番組は構成のひどさから「もう見たくない」と思っていたが、国民の利益に反する報道を続けるのであれば、看過することはできないので、こちらから少しでも正しい情報を発信できるよう視聴を続けていきたい。〈秘書W〉