"行政改革"というと、まず頭に浮かぶのは、中央省庁の再編などの"組織機構改革"や天下りのあっせん禁止などの"公務員制度改革"等であろう。これらは規模や影響が大きいため、実現までには時間も労力も要する。しかし、地道で弛まぬ説得は必要ではあるが、迅速にして即効性もある"意識改革"や"業務改革"という、その気になればすぐにでもできる"行政改革"も存在する。今回はこれに注目したい。
それは、実に小さな記事であった。先月の新聞紙面に「試作品開発から販路開拓までの費用の3分の2を補助する『ものづくり補助金』では、申請書類を従来の半分以下に減らした」とあった。この削減は、東京都大田区で開催された"ちいさな企業"成長本部の場で、中小企業経営者から安倍総理に要請され、総理がその場で実現を約束し、経済産業大臣政務官である平議員が手掛けたものである。役所では、予算の獲得とその適正な執行が人事評価上も重視されることから、膨大な資料を出させるなどこれまでは事前チェックが厳しかった。しかし、今回のケースでは、約1万社を対象に1,007億円を緊急で支援するという政策目的もあるので、多くの企業の申請を簡便にし、事後のモニタリングを強化する方針に改めた。
次いでこれも経済産業省での事例である。政府の各種支援制度は、制度の存在そのものが分かりづらく、どの制度が利用者側のニーズに合うのかに見えにくいと言われている。また、同じ省内でさえも、隣の部署の政策を把握していないことが多いと聞く。そうした背景を受けて、政策を利用する側の立場に立った「ミラサポ(未来の企業★応援サイト)」(
https://www.mirasapo.jp/)というポータルサイトが開設された、ミラサポでは、企業自らが資金調達や人材採用などのニーズに合った政策を探すことを可能にしている。よって、今後は、政府の施策に関する情報格差が是正され、必要な人に必要な支援が行き届くことが期待される。
さらに経済産業省での事例である。これまで、同省は、主として国内の企業を対象に経済政策を立案してきた。しかし、国内で元気な企業こそ海外進出し、日本に利益を還流させることが分かってきたので、その政策転換を行った。ここにおいて、「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム」(
http://www.jetro.go.jp/services/platform/)という枠組みを8カ国・10地域で作り、現地で事業を行う際にワンストップでサービスを受けられるようにした。従来、行政サービスは「たらい回し」と揶揄され、必要なサービスをすぐに受けられないこともあったので、今後はその改善が図られるであろう。
いずれも平議員が経済産業大臣政務官になって僅か8ヶ月の間に実現された"行政改革"である。政策を利用する側の立場に立って考えるという"意識改革"で成し遂げられた"業務改革"であり、まさに行政のパラダイムチェンジと言えよう。身びいきとの指摘を覚悟の上、紹介させていただいた。〈秘書W〉