時は国会の閉会中、平議員が足繁く通う場がある。それは、税金の無駄遣いを厳しくチェックする自民党無駄撲滅(通称「ムダボ」)プロジェクトチームの会合だ。
予算付けや減税の要求は、選挙での票や政治資金の獲得につながりやすいので、力を入れる国会議員も多い。しかし、ムダボチームは、費用対効果の観点から無駄と思われる予算を削るので、場合によっては業界団体や同じ自民党内の関係国会議員から睨まれることもある。
民主党の蓮舫議員のパフォーマンスで注目された事業仕分けであるが、元祖はこの自民党ムダボチームだ。政権に就いた民主党は、予算をバッサバッサと切る仕事人のように映ったが、実は政敵である自公政権時代に作られた予算案を好きに組み換えたに過ぎない。事業仕分けは、反対を押し切りながら、自らの政党が作り上げた予算を削減することに本来の意義がある。ムダボチームの価値はそこにあり、ムダボチームこそが真の改革勢力と言えよう。
そのムダボチームの成果の1つが先日発表された。農水省が支援する「バイオ燃料生産拠点確立事業」を精査した結果、拠出する補助金は今季予算限りとなったのである(
http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/bioi/140709.html)。これにより、来年度と再来年度予算の合計約20億円をセーブしたことになる。
本事業は、国による国産バイオエタノール生産に対する補助事業で、食料・農業(食料供給力の維持・向上等)、環境(地球温暖化対策等)、エネルギー(エネルギー供給源の多様化等)の3つの面で利点があるとの認識に立ち開始されたが、当初の5年間の事業期間を経過しても本事業は自立化の目処が全く立たなかった。農水省はさらに5年間の補助金支給延長を決めていたが、平議員は「農水省が説明した事業見通しは甘いし、ビジネスモデルの再構築も困難」と指摘した。また、「百歩譲って、彼らの事業計画通りに今後5年で事業の自立化が可能であると言うのなら、補助金の継続とともに事業者にも追加出資を求めるべきだ」とも指摘した。これらを受けて、農水省は本事業の再検討を本格化させていったのである。
プレスリリースを読むと、本事業の打ち切りは、役所側の自主的な判断によるものという印象を与えるが、ここに至るまでに、前述のとおり、ムダボの会合において役所からのヒアリングを重ね、担当者が何度も議員会館に来て説明するなど、政治からの働き掛けを続けていたので「ようやく」の感がある。他方で、最終的には、役所の担当者には、自民党のプロジェクトチームによって事業を止めてもらったという安堵感が漂っていたともいうので、国策とは不可思議なものだ。
じっくり取り組める閉会中こそ、ムダボの季節と言えるのではなかろうか。あまり報道されることもないが、平議員は、今日も地道な作業のため、党本部に向かう。 〈秘書W〉