TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が10月5日に大筋合意された。アトランタにおける最終的な交渉は、当初の2日間の日程が延長に次ぐ延長によって6日間に及んだ。10月8日の自民党本部における会合での甘利TPP担当大臣の言葉を借りれば「徹夜続きだった。ドリームチームで臨んだが、僅かな時間を休息に当てるために睡眠剤を飲んでも1時間で目が覚めてしまうような緊張感続きで、最終合意に至る確信を持てたのが共同会見前日の午前4時」という極限状態だったとのこと。そして、これに関連して、江藤拓議員(自民党TPP交渉における国益を守り抜く会会長)が交渉自体について「他国についていえば、ありとあらゆる手を使い騙してでも自分の国に有利な内容にしようという戦いであった」と述べたのは印象的で、世界における外交交渉がいかに過酷なものであったかを思い知らされた。
さて、TPPの意義とは何か。今でこそ、オバマ米大統領が「世界経済のルールを中国のような国に書かせない」と述べるなど、一つの意図が見えてきているが、日本がTPP交渉に入ることの是非が問われた当時は、アメリカがそのルールを日本に押し付け、日本をアメリカの傀儡にしようとしているという「アメリカ悪玉論」が主流ではなかったか。
この点、平議員は産経ニュース(http://www.sankei.com/politics/news/130812/plt1308120004-n1.html)で、TPPについて「国際的な自由貿易のルールづくりに日本が参加することに利益があること」「少子高齢化で減少する国内需要をカバーするために日本の成長戦略に欠かせないこと」「法体系が違う巨大国家・中国を含めた国際的なルールをつくる前段階として重要なこと」等を述べていたが、この類の正論はあまり取り上げられなかったように思われる。
次期アメリカ大統領選挙での民主党の有力候補とされるクリントン前国務長官がTPPについて、推進の立場を翻して「現時点では支持できない」と表明するやいなや、「どっちに転んでも(TPPが進むにしても止まるにしても)日本には心配材料だと思うんです」と、とにかく混乱を望んでいるとしか思えないような発言をしたTVキャスターがいた。このような基本姿勢をマスコミがとり続ける限り、平議員らが明快に説明したとしても、国民の理解にはなかなか繋がらないのではないかと改めて思った。 〈秘書W〉