先週金曜日に「生産性向上特別措置法案」及び「産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が衆議院経済産業委員会で可決されたが、平議員はそれに先立つ4月6日(金)、衆議院経済産業委員会の質問に立っていた。内容は、レギュラトリー・サンドボックス、地域未来牽引企業、コネクティッド・インダストリーズなど法案に関連する政府の最新の政策について。このうちの前2つは、2016年9月に自民党の茂木敏充政調会長(当時)の下に新設された経済構造改革特命委員会で構想が練られ「経済構造改革戦略:Strategy5(H29.4.28)」として打ち出されたもの。平議員は同特命委員会の事務局代理を拝命し、現在は事務局長に就任している。この中で今回は「政策がひとり歩きする」という不思議な現象に遭遇した地域未来牽引企業について取り上げたい。
さて、地域未来牽引企業とは何か。端的には、地域ごとに①域外への販売が大きく、②そのために多くを域内から調達する企業のことで、地域未来牽引企業の売り上げが伸びれば地域全体も潤う関係性がある。命名者は平議員である。
内需頼みでは人口が減少していく中において激しいパイの奪い合いになるが、外需も視野に入れて地域未来牽引企業が売り上げを伸ばしていけば日本経済全体が更に上向く。これをビッグデータ分析システムのRESAS(地域経済分析システム)を用いて抽出する。
そして、この地域未来牽引企業の選定には、政策のパラダイム転換が絡んでいる。これまでの政府の企業支援策は、企業側が政府に対して助成を申請するものばかりであった。しかし、この政策は、政府が選定した地域未来牽引企業とその取引群に対して、積極的に政策資源(税制、補助金、規制改革)を投入するという世界でも類を見ない政策だ。
この地域未来牽引企業への集中支援策を平議員は「超精密ターゲティング・ポリシー」と名付けた。かつての通産省主導のターゲティング・ポリシーは「製鉄」「自動車」など今後日本として力を入れるべき産業を予測して導く政策で、予測が当たってうまく行く場合もあれば外れる場合もあった。しかし、地域未来牽引企業の選定はデータに基づき、そこに政策資源を重点投入するということなので、まさに超精密なターゲティング・ポリシーなのだ。ネーミングだけでも期待感が高まるものであり、自民党内で新しい政策として読み上げられたときには場内でどよめきが起こったものだ。
ところで、この政策の肝は何か。実は、データに基づいて支援対象や支援策が厳正に決められるので、政治家や官僚の差配がきかないということ。茂木政調会長のリーダーシップと平議員の精力的な根回しで何とか自民党内の手続きを通し、その後政府の政策として反映することができたが、これこそが真のパラダイム転換であったのかもしれない。 〈秘書W〉